忘れたいこと
今週のお題「忘れたいこと」
覚えておくべきことはすぐ忘れ、忘れたいことはいつまでも覚えているのがASDなので、今週のお題は丁度良いテーマと言えます。
やれ全く仕事が覚えられない、やれ全く人と会話がかみ合わない、明らかに自分は何かがおかしいのでは、でも自分は障害というほど他人とのコミュニケーションを嫌悪しているか? と色々考えていたとき、言われた言葉があります。
「あなたが人とのコミュニケーションが楽しいと言うのは、周りがあなたに合わせているから」
それまで自分は「人と話すのは得意ではないが嫌いでもない」と考えていたのですが、まったくこの発想はなかったんですね。他者の視点が完全に欠落していたわけです。そして自分が周りに合わせるという、当たり前の考えをそもそも持っていないことに気づきました。
こう言われなければ自分は発達障害の診断を受けようとは思わなかっただろうし、「ただの天然」で済まされてた可能性が大いにあります。
もしこの言葉を忘れることができたら、今のASDと診断された自分もなくなるわけで、おそらくは今よりも「生きやすい」人生を送っていたでしょう。
自分がASDであることは自覚せず、自分には他者の視点がないことにも気づかず、一生を終えたかもしれません。
その「生きやすさ」は他人の負担の上に成り立っているとは夢にも思わないまま。
しかしそれが幸せな人生とはとても思えないのです。
他者の視点を持っていないということにASDが気づけたのは、非常に得難い経験なのかもしれません。
なので、人生を変えるほどの「生きづらさ」のきっかけとなった言葉ですが、今では言われたことは感謝しています。
常に他者の視点を意識するためにも、この言葉は忘れてはいけない気がしますね。
これ、忘れたいことじゃないですね?
なので今回のお題は忘れてください。
完